Fast restart optionは、インテルへの忖度か?

今月リリースされたHANA 2 SPS04には、Fast restart optionという機能が追加された。

これは、Linuxのtmpfs上にカラムテーブルのメインストアを配置することにより、HANAインスタンスの起動停止にかかわらず、メイン上ストアをメモリー上に常駐させようという機能。これにより、HANAが再起動やフェールオーバーした時に発生していた悪名高きLazy load-ディスク上に保存されたデータをメモリー上に持ってくる作業。大量データがディスクから読み込まれることから、Lazy(のろい、ダルい)loadと呼ばれる- を無くしてしまおうという新機能だ。

tmpfsは、OSがリブートされない限り維持されるし、HANA側の対応もデータロードを止めるだけだろうから、なるほど、いい修正だ。これまでに、実運用でHANAの起動に数10分から数時間も待っていた既存ユーザーからすると大歓迎の修正である。

一方、1つ前のsps03で入った新機能の目玉にパーシステントメモリー対応というのがある。これは、ハードウエアレベルでメインストアのメモリー常駐を実現するもので、Optane DC Persistent memoryという新しいDIMMタイプの永続性のあるメモリーを使う。永続的なメモリーだから、その上に置いたデータは電源を切っても保持されるし、起動のたびにロードする必要もない。しかも、こちらはハードウエアーレベルで実現しているので、OSのリブートも関係なくデータは存在し続ける点がFast restart optionとの違いだ。

ユーザは、費用とニーズでどちらかを選べばいいのだけど、両者のリリースのタイミング的に、SAPはユーザメリットよりもインテルの目玉新製品への配慮を優先してしまったようだ、という点が少し残念。

Fast restart optionは、修正もそんなに大変ではなかっただろうし、もっと早く、なんならHANA 1の時代に出そうと思えば出せただろう。ユーザもハードウエアへの追加投資も不要で、HANAのアップグレードだけで再起動」フェールオーバの時間を大幅に短縮できただろう。

にもかかわらず、昨年spa03でパーシステントメモリ対応、今年sps04でFast restart option提供という順番は、ユーザメリットがあるの軽く見られたようで大変残念なのであった。

2019/04/17

based on sps04