HANAはお荷物!?

 

www.computing.co.uk

以下、要旨。 

(翻訳上の独自解釈、意訳あり。真偽確認は原文でお願いします。)

HANAに関するニュースが2019/04/18付で出ているのを発見。

イギリスのComputingというIT情報サイトのニュースでタイトルは、

「HANAがSAPのお荷物に見えるのは何故?SAPは大改革の最中だが、どうも原因はHANAの弱点にありそうだ。」

 

トピックとしては

  • 理事会メンバーおよびSAPのクラウドビジネス担当プレジデントであるRobert Enslinが退任、最高技術責任者であるBjoern Goerke氏、グローバルサービスの責任者であるBernd Leukert、製品マーケティングの責任者であるKen Tsai氏が退職した。
  • 元HANAチームのリーダーであるThomas JungとRich Heilmanが、多くの開発チームメンバーとともに解雇された。(ロイターは会社に残っていると報じているらしいが、、。)
  • 合計で約4,400人の従業員が解雇される見込み。

ということで、ここからわかることはHANAの開発に関するトップの面々、及び関連する4400名が解雇されるということから、SAP恒例の新しいヒューマンリソースプラニングが実行されつつあるという事ではないだろうか。SAPは、業績が良かろうが悪かろうが、会社の変化が必要なときに、人員のシフト(異動)と解雇(入れ替え)を数年おきにやっているそうなので、同社の戦略や目指す方法が大きく変わりつつあることと、そのために今のHANAの開発リソースは不要であると判断されたこと、の2点が想像できます。

さらに、HANAについて、

  • 問題の一部は、買収で得た3つの別々のデータベース製品(TREX、MaxDB、およびP * TIME)を組み合わせたHANAのアーキテクチャにある。
  • Oracleをリプレースするために、汎用データベースとしての開発が性急すぎた。
  • HANAには適したユースケースが多くあるが、ビッグデータタイプのシナリオには対応できない。
  • 古い製品の技術が混在しているため、保守や最適化が困難である。

と、HANA開発の当初から潜在的な問題があり、開発でこれをうまく解決できなかったとし、ビッグデータシナリオに不向きであることを述べています。

また、プロダクトマーケティング的な視点からは、

  • HANAの主目的は、SAP BW下でOracleと対抗し得る製品になることだった。
  • しかし、データウェアハウスとスタンドアロンのデータベース市場への意欲を見せたことが間違いだった。
  • 既に多くのユーザが使用しているので下位互換性を無視することが出来ず、開発チームが優秀だったにも拘わらず、SAPはデータウェアハウスやスタンドアローンといったユースケースに合わせてHANAを再構築することができなかった。

と、HANAの市場における本来の位置づけとは異なるメッセージを市場に発信してしまい、開発の過程でもそのメッセージを正当化できるような成果を残せなかったことを示唆しています。

SAPのHANAの取り組みに対して、

  • HANAはOLTPとOLAPの機能を、同じボックス内で行ストアと列ストアと組み合わせることで実現している。
  • しかし、市場はすでに特定の目的に最適化された複数のデータベースを組み合わせる方向に走り始めていた。
  • したがって、SAPのHANAはすでに終わった戦略である。

という評価をしています。
今後のHANAについては、

  • S / 4HANAやC / 4HANAなどのアプリケーションの背後にあるデータベースであり、その位置づけは変わらない。
  • 自社のBWおよびヨーロッパのソリューションの下に隠し、ビジネス面により重点を置く。

という複数の見通しを紹介し、汎用的なユースケースから、BW専用または、SAP製品専用のデータベースに位置付けられることを予想しています。

最後に、SAPからのステートメントです。

  • SAPは顧客からの投資が期待される分野に、より多くのリソースを投資する。新しいSAP HANAイノベーションは、これらの重要な優先分野の1つ。
  • HANAはSAPおよびSAP HANAプラットフォームで28,000以上の顧客を持ち、顧客は大成功を収めている。

  • SuccessFactorsを含むほぼすべてのSAPアプリケーションは、現在HANAを利用していまる。SuccessFactorsでは1億2500万人を超えるクラウドユーザーがSAP HANAの恩恵を受けている。

  •  SAPはSAP HANAの革新を続けており、実際には最新バージョンのSAP HANA(SPS04)が今月(2019年4月)にリリースされ、さらなるIntelligence、agility、Efficiencyを提供するための全面的な革新を提供している。

 

(了)

2019/04/22